国立文楽劇場錦秋公演千穐楽

こんばんは。

国立文楽劇場、平成22年錦秋文楽公演は千穐楽を迎えた。

昨日から涙ぐんでいたせいか、三番叟のめでたさや、舞台が無事に開き、無事に終わることに感動し泣けてきた…。

涙もろくなったわ…。


今日は10時に着いた。友人の幕見席を無事買うことができた。ひと安心。

久しぶりに1階の茶寮でホットコーヒー。

下瀬さんのお七の絵と出会い感動した。

お姉さんにどなたですかと伺ったあと、お臼の絵の割り箸をくださった。

何度か劇場のお弁当を買い、『団子売り』の紙と、お臼の箸袋を持って帰るんやけど、やっぱり処分してしまう。

今日は本当に嬉しかったので、置いておこうと思う。

今日も展示室で国芳さんの錦絵だけを見た。

国芳さん大好きだぁ〜。

大好きな文楽に来て、大好きな国芳さんと出会えて幸せ〜。



第1部、下手よりの最前列。

桐竹勘十郎さんの熊谷直実が馬に乗って登場し、止まる位置の正面だった。

勘十郎さんの出のお顔が素敵だった。ついね、好きな方は表情を見てしまう。

熊谷って、兜をかぶっている時はかわいいと思ってしまう。私だけ(笑)。

組討の段はよう泣いた…。

熊谷桜の段、松香さんと富助さん揃ってのロマンスグレーに少しときめいてしまった。

今日は吉田文雀さんの藤の局が、やっぱり凄くてよく眺めていた。

拍手はやっぱり気持ちがいい。

一体感がたまらない。

今日は「ご批判如何に」が決まっていた。

決まっていただけに、また聴きたい、観たいと思っても叶わないところが儚い。

あの時間にしか存在しないものなんだ。



『一谷嫩軍記』の休憩時間、ロビーに勘緑さんがいてはったので、ご挨拶をし、床本集にサインをしていただいた。緊張したが嬉しかった。

第1部終演後も近くを通る機会がどうしてもあったので、感想をお伝えした。



清十郎さんのお七は、今日もきれいだった。

少ない動きしかしない、八百屋内の段が好き。

火の見櫓の段は、お七が目の前を行ったり来たりするので、何も書き留めていない。

千穐楽なので、お七をずっと見つめていた。はぁ〜、楽しかった。



第2部、嬢景清八嶋日記
中央の最前列。

やっぱり清十郎さんの糸滝はかわいい。14歳という幼い子がいると感じていた。

佐治に起こしてもらう場面でまた泣けた…。

佐治ってば本当に優しい。

景清と糸滝が抱き合うポイントが今日分かった。

今日は一人目になる勇気がなかったので、次こそは自信を持って拍手ができる。いつになるだろうなぁ。

ほぼずっと泣いている糸滝だが、景清の怒りが偽りと知ってからは、別れだが嬉しそうで、糸滝の最後は嬉しい気持ちで終われた。

そのあと景清が転げ回る場面は本当に切ないが、頼朝に味方することによって丸く収まる。

今の政治家は、乱世の時代じゃなくてよかったね。

景清みたいに立派じゃないと、邪魔な相手は殺されてしまうよ。

平和な時代はありがたいが、国を任せる人たちの中身が空っぽだと、乱世の時代でもいいんじゃないかと、皮肉も言いたくなる。

そうなると今のあたしだと、どこかで腰元奉公しているんだろうなぁ。



いよいよ最後の『近頃河原の達引』を迎えた。

やっぱり伝兵衛はかっこいい。源太という首がかっこいいんかな。

首については、まだまだ勉強中。

竹本住大夫さんは、今日も目をぎゅっとつぶりはった。

与次郎母の語り始めから泣けてきた。

今日は勘壽さんの出に拍手をできた。

「母ではなうて〜」から泣ける。

津駒大夫、寛治さんになってから、確かに可笑しい場面は続くが、筋としては私は笑えない。

ずっと悲しかった…。

伝兵衛が手紙を読む場面、二回繰り返すことに前回気付いた。

細かいし、丁寧に作り込んでいるなぁと感じた。

吉田簑助さんの下手後ろぶりはピンポイントに拍手ができた。

猿廻しの三味線は本当に楽しい。いつかCDにならないかな〜。



4回目にして、最後の決めポーズ(とは言わないんだろうな)の時に、おしゅん伝兵衛が手をつないでいたのは見えていたが、今日はおしゅんがその腕にすがりついて泣いていた…。

切ない場面で、私の錦秋公演も終わった。


旧暦神無月十六日キンセンカサク。空氷