国立文楽劇場錦秋公演

こんばんは。

国立文楽劇場、平成22年錦秋文楽公演、21日まで上演中。

今日は床本集『嬢景清八嶋日記』を休憩時間に読んで、花菱屋の段を思い出して楽しんでいた。

…いやいや正しくは、思い出しながら仕事をしていた。



花菱屋女房がほんっとに可笑しくて楽しい。

生き仏のような花菱屋長との対比がおもしろいし、花菱屋長の詞に何度も泣かされる。「朝顔」と「罰」のくだりが特に。

ありがたくて、糸ちゃんと一緒になって泣いた…。



今年の2月、国立劇場で初めて聴いた時も楽しかったけれど、31日には初めて聴くような楽しさがあった。



やはり舞台は生き物なんだと思う。



一回聴いたからといって「あぁ知ってる」と済ますようではもったいない!

知っていても、何度でも楽しめる。

この先の清十郎さんの糸滝を初めて観るように楽しみたい。

お人形の出に拍手をしそびれたので、今度こそしたいと思う。

糸滝の普段着もかわいいが、旅姿がもっとかわいい。

時代劇でよく見る、手と足に水色の生地がある。

あれは防寒かな?調べてみよう。



中断してiGoogle検索をしたら、Amazonで道中姿セット(おもちゃ)が売っていた(笑)。思わず買いそうになった(笑)。

脚絆は聞いたことがあった。手の方は、手甲と言うらしい。

旅でたくさん歩くから必要なんだろうな。

歩いての長旅は想像がつかないけれど。



そして!わたしゃ伝兵衛に恋しています(笑)。←いや本気。

初めてお人形に惚れた。あ〜、危ないことになってるわ。

伝兵衛の立ち回りは寝ていたが(苦笑)、終わり頃から目が覚めた。

そもそも駕籠からの出に感動したんだった!

駕籠から顔を出す時、最初に客席側に向かってお人形だけだったから。

これは桐竹勘十郎さんの芸だと思う。

とにかく出から男前さを感じていた。

もちろん勘十郎さんのお人形だから、という理由もある。

おしゅん母と与次郎には悪人の「レッテル」を貼られているが、絶対いい人やと思う。

磯之丞の若気の至りには「あ〜あ」と冷めた目で見ていたが(笑)、伝兵衛の場合は仕方がないと思えた。

かっこいいから?

しかも自分は生きていられないと「覚悟」をしているのがかっこいい。

今の時代もこういう犯罪はあるけれど「覚悟」が足りない。まぁ、あればいいってもんじゃないけれど…。

悪人でも、官左衛門の死を悲しむ人だっているだろうから。



31日は玉也さんが急病で、玉志さんが代役。玉也さん大丈夫かしら。



一谷嫩軍記は藤の局が熊谷直実に向かって何度も短剣を刺そうとするのが、途中からおかしかった。

それに敦盛実は小次郎と分かっていると、こっちは複雑な心境になっている。

それでも、この時の藤の局の気持ちを思えば納得できる。



伊達娘恋緋鹿子は杉の「ちと耳引かう」は本当に耳を引かないのね(笑)。

こういう部分はまさに聴く芸能だと思った。

幕が引かれる前に「清十郎」と声がかかった!!

清十郎さんのファンとしてはすごく嬉しかった。



昨日の「文楽人形との出会い」の続き。

2007年1月齋藤孝先生にお会いした日の帰りに、新大阪駅で初めて文楽のお人形を見た。

もしこの日がなかったら…、とよく思う。

それから2007年の4月が初めてで、次が11月。

それからなんとなく行かなかったが、2008年11月清十郎さんの襲名披露公演をJRのチラシで知った。

ずっと会いたかった八重垣姫に会える!ということで決めた。

清十郎さんがタイプだったのも理由の一つ。

姫と出会わせてくれた清十郎さんにはご縁を感じ、応援していこうと決めた。


旧暦長月廿六日、モミジツタキバム。空氷