国立劇場 人形浄瑠璃 文楽 二月公演 『菅原伝授手習鑑を聴く』

sorahi2011-02-13

こんばんは。

昨日、国立劇場小劇場へ出かけた。
あ、正確には雪が積もった11日に夜行バスで。

運休にならなくてよかった〜。安上がりな夜行バスは、本当に助かる!

今度があれば、行きも帰りも、レディース号にしよう。

にしても、昨年の2月も雨やったぞ。季節もんかな。



今回は気に入らなかったことを書いていくので、これから楽しみの方は、これ以上読むことをおすすめできない。

そしてもちろん、個人の感想として、寛い心で受け止めてもらいたい。



国立劇場、2月文楽公演第2部
*菅原伝授手習鑑

まぁ、私がぎりぎりに入ったのが悪いのかもしれないが、道行からは、ときよ親王と苅屋姫のラブラブさが伝わってこなかった。

桜丸も含め、三人共の若さも感じられなかった。



筋を分からん人が聴いて、道行からで物語に入り込めたのだろうか。

私は無理だった。

唯一の楽しみは、富助さんと、ツレ弾きの三味線のみだった。



ときよ親王が、菅丞相のことを心配しているが、不満が募っていたので、あんたら二人のせいやん!と怒っていた。

でも知らないことは事実やし、でも何かがあったことは知ったから、ラブラブではおられなかったんやろうな、とも思う。

それでも、二人がラブラブやったからこそ、菅丞相が左遷になったので、これが伝わるお芝居、もしくは構成にしないと伝わらない!

道行より、加茂堤をやってもよかったのではないか。

出来ないのは時間の都合かもしれないが、…本当にもったいない!(それでも公演内容をすべて受け入れる気持ちに変わりはない。)



車曳きでは、よしほさん、睦さん、はっきりと聴こえ若さも感じた。

今回誰々のお人形、というのを、敢えて意識しなかった。



以前、栄御前を聴いた時、人形遣いさんを意識していなくて、それでも舞台後の話は盛り上がった(初心者ゆえ)。

これを思い出せたことによって、「聴く」お芝居に集中してみようと思った。



なので今回、吉田簑助さんの登場時に、構えた拍手をできなかった。

本当に忘れていた。

声に聴き入っていたから。

桜丸の覚悟の詞には泣けた…。

もちろん簑助さんの桜丸にも感動した。



それから、白太夫は意識して拍手をしたし、清十郎さんは忘れることがないので拍手をした。

清十郎さんに関しては、応援しているので、これからも構えていると思う。

でも以前と違うのは、清十郎さんの八重さん、と強く言わないことにした。

八重という人物を楽しむ。



無理はあるが、お人形遣いさんに興味がなかった(と言い切ると、失礼を承知で…)頃の自分を思い出している。

もちろん配役発表は楽しみやし、清十郎さんの舞台を追い続けることに変わりはない。



それでも「語り」を楽しむ自分にシフトしたことが分かる。



車曳きは、松王丸の登場は迫力があったが、松香さんには合っていないような。

私は一谷嫩軍記が気に入っている。



遣らぬって、時平の車を壊すことが目的なん?(笑)。

取っ組み合いをしている内に、車が壊れることを想像していた(博多座をすっかり忘れて…)。



そりゃ時平も怒るわいなう。

時平の笑い、津國さんお疲れさまでした。

私は拍手のタイミングが分からず、後方のお客さんに任せた。

拍手が起こるまで、笑っていたのか分からないが、長かった。

もうちょっと早めに拍手をするポイントを知りたい。



三つ子のやり取りは、子どもやん、とつっこんだ。ほほえましい。



茶筅酒は、千歳さんよかった。

書いてはいなかったが、糸滝は苦手だった。

でも初春公演の岩根御前はよく思い出す。

何も知らない八重と白太夫の笑いは、本当にほほえましかった。

桐竹勘十郎さんの白太夫は、やはり登場から「おお〜」と思わずにはいられない。

太夫のギャグが、ギャグ好きなのか、空元気なのか見極められなかったが、話が進むにつれて、やっと悲しみの上、というのが分かってきた。

八重が持ってきた三方を見た時に…。



ここは自分で読んだ時には、悲しみを感じなかった。

まぁ無知なだけで。

舞台で聴いて、観て、「はっ」となった瞬間だった。

氏神様へ参るのも、自分では決められへんからや、と思うと泣けてきた…。

氏神へ頼んだり」(泣)。



喧嘩の段、文字久さんの語り分けは弱かったように思う。

伝兵衛さんはよかった。



桜丸切腹は…竹本住大夫さん、白太夫がよかった。

代官所の格は、やっぱりギャグ好きなんかな、と笑ってしまう。

蟹忠義も。真面目…ちゃうでな。



八重と桜丸がやっと対面した時、八重のお人形から気持ちが伝わってきた。

太夫にお願いする時も。



太夫の、朝からの覚悟は泣けて仕方がなかった…。

桜丸の「恥を知り、義のために相果つる」

泣きつつも、八百長力士に聴かせたい!と奮起していた。

介錯が鉦撞木というのがまた切ない…。



現世の旅立ち
未来へ旅立ち



太夫はそれでも生きていく…。



それを強く感じた。



旧暦睦月十一日、ウグイスナク。空氷